感染性胃腸炎について
日本人が亡くなる原因をご存知でしょうか?
感染性胃腸炎とは、細菌やウィルスなどの微生物が原因で起こる、胃腸症状を主体とした疾患の総称です。
細菌性のものは梅雨期から夏場によくみられます。いわゆる食中毒を起こすことも多く、腸炎ビブリオ、サルモネラ、病原性大腸菌(O157など)といったものがあります。一方、ウィルス性のものは冬場に多くみられます。冬季、乳幼児に激しいおう吐と水様下痢があればロタウィルスを疑います。
近年冬になるとノロウィルスという名前をよく聞きます。以前から知られたウィルスですが、平成15年にこの名称となったので耳新しい印象があるかもしれません。感染力が強く、大人も子供もかかります。
原因として牡蠣の生食がクローズアップされましたが、実際の頻度は少ないです。信頼できる産地ではウィルスの有無が定期チェックされています。それでも心配なら加熱(85度1分)すれば安心です。感染経路の多くは、感染者の便や吐物によるものです。汚染された手指や、それで調理された食品、あるいは便や吐物が乾燥して空気中に舞ったものを介して経口的に感染します。
最も重要な予防法は十分な手洗いおよび便や吐物の適正な処理です。手袋やマスクをして、乾燥する前に密閉して廃棄します。消毒にはアルコールは無効であり、塩素系の漂白剤や消毒液を用います。
感染すると人間の腸内でウィルスが増殖します。1-2日の潜伏期間を経て、おう吐・下痢・発熱・腹痛などがみられます。ほとんどは1-2日で改善しますが、小児や高齢者では脱水に注意が必要です。また高齢者ではおう吐に伴う窒息や誤嚥性肺炎を起こすことがあります。症状が消失しても、一週間位は便中にウィルスが排出されます。特に食品衛生にかかわる職場・職員には慎重な対応が求められます。詳しくは保健所に相談して下さい。厚生労働省のホームページにもQ&Aがあり参考になります。