高齢者のリハビリテーション
2020/03/01
高齢者では、体重減少や疲れやすさ、歩行速度の低下、身体活動量の 低下など心身が衰えた状態(フレイル)や筋肉量の減少により、握力低 下や下肢筋、体幹筋などの全身の筋 力低下(サルコペニア)がみられます。
また、高齢者の多くは骨粗しょう症 や認知症も伴っています。
骨粗しょう症は、骨の量が減って弱くなり、転倒すると大腿骨近位部骨折(太ももの付け根)が起こりやすく、高齢者では寝たきりになってしまうことがあります。整形外科で骨折の手術を行い、早期にリハビリテーションを開始し、骨折前の活動性の維持を目指します。
地域包括ケア病棟では、このような患者さんを急性期病棟・病院から 受け入れ、回復期のさらなるリハビリテーションを行います。リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士・ 言語聴覚士)はもちろん、主治医、 看護師、薬剤師、管理栄養士、介護士、 相談員、ケアマネージャー、サービス事業者など多職種のチーム医療により、長年にわたって積み重なってきた高齢者特有の課題をひとつひとつ 解決し、ひとりひとりの患者さんについて退院後の自宅での生活について検討します。トイレでの排泄や入浴での浴槽のまたぎ、段差のある玄関先の出入りなど実際の日常生活を想定したリハビリテーションも行い、生活の再建を目指します。
サルコペニア・フレイルの予防のためには、筋肉をつくるために必要なタンパク質(肉や魚、卵や大豆製品 など)をしっかりとることが重要です。また、運動とタンパク質摂取を組み合わせることで、より多くの筋肉量と筋力の改善が得られます。低強度の筋力トレーニングでも回数を多く行うことで高齢者でも筋肥大が得られることが知られており、続けていくことが重要です。